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全日本漢詩大会京都大会

「古典の日」記念 平成28年度全日本漢詩大会京都大会 報告

平成28年9月17日(土)午後1時から、京都教育文化センター(京都市)にて、平成28年度全日本漢詩大会京都大会が開催され、全国から三百名を超える漢詩人が集まった。大野修作・近畿漢詩連盟会長の開会宣言と挨拶に続いて表彰式がおこなわれ、657首の応募作から選ばれた各特別賞受賞者と秀作・佳作・入選の代表者に賞状と副賞が授与された。石川忠久・全日本漢詩連盟会長による受賞作選評では、文部科学大臣賞受賞の山田治さん「古都晩景」が「神の啓示ではないか」と激賞され、会場は大いに盛り上がった。その山田さんが受賞者を代表して謝辞を述べ、来年度の愛知大会主催者代表として風岡正明・愛知大会副実行委員長からの挨拶で表彰式は終了した。

 ⇒京都大会受賞作

午後2時からは、石川忠久・全日本漢詩連盟会長による記念講演「頼山陽 情愛の詩」がおこなわれた。頼山陽が家族や友人、弟子たちに与えた情愛あふれる詩が紹介され、石川会長のいつもながらの自在な話術に聴衆は引きこまれた。

記念講演「頼山陽 情愛の詩」

次にパネルディスカッション「江戸後期の京都詩壇」が始まり、石川忠久・全日本漢詩連盟会長、大野修作・近畿漢詩連盟会長、坂井輝久・清水寺学芸員、新稲法子・佛教大学非常勤講師の四名のパネラーが、柏木如亭・中島棕隠・廣瀬旭荘など江戸後期の漢詩人の魅力を自身の体験も交えて語り合った。終了間際、坂井氏が、かつて宮中では歌会始めと同様に年始に漢詩を作る「作文(さくもん)始め」があったことに触れ、全日本漢詩連盟の力でこの「作文始め」を復活させてほしいと期待を述べると、会場の参加者は割れんばかりの拍手でこれに応え、パネルディスカッションは幕を閉じた。

パネルディスカッション「江戸後期の京都詩壇」

続いて、山田静将・京都府詩吟連盟理事長をはじめとする吟詠大家による、特別賞受賞作品の吟詠が披露され、作品の魅力を最大に表現する吟の力に会場全体が酔いしれた。吟詠の余韻ただよう中、北口昌將・近畿漢詩連盟理事による閉会の辞で、大会は無事終了した。

午後5時からは、会場を1階ホールに移して懇親交流会が開かれ、久しぶりの再会に旧交をあたためる人、新たな出会いに交流を深める人など、あちこちで笑顔があふれた。さらに、石川会長が即興で左の一首を披露すると、会場は万雷の拍手に包まれ、大いに盛り上がった。
  頼翁歿去百年後   頼翁 没し去り百年の後
  小子享生今此來   小子 生を享けて今此に来る
  鴨水潺潺流不盡   鴨水 潺潺 流れて盡きず
  遺蹤蹋處仰高才   遺蹤 蹋む処 高才を仰ぐ

翌18日(日)午前9時半からは、渉成園(東本願寺飛地境内)での吟行が開催された。あいにくの雨にもかかわらず、集合時間の三十分以上前から約百名もの参加者たちがつめかける盛況ぶりとなった。まず、閬風閣にて大野近畿漢詩連盟会長から、渉成園と頼山陽による「渉成園記」についてのレクチャーを受けたあと、参加者は三つの班に分かれて園内を巡った。時折強まる風雨のなか、傘をさしながらの散策となったが、さすがは石川丈山の作と伝わる名庭園だけあり、参加者からは自然と「雨も亦た奇なり」との声が漏れた。散策後は閬風閣へ戻り、邸内から景色を眺めながらの昼食を楽しんで散会となった。これで今大会のすべての行事は終了し、参加者は互いに再会を期して別れた。